「地上の星たち」をより楽しむために抑えておきたいポイント
この映画はインドのスーパースター「 アーミル・カーン 」の初監督&主演をした作品です。子供独自の世界を・自分になにが起こっているかを丁寧に描きながら、大人は子どもたちの個性にどう寄り添うべきかを問う作品になっています。見終わった後に普通とは何かを考え、人の気持ちに寄り添おうと思える映画です。
アーミル・カーンの優しい想いが詰まった映画「地上の星たち」を最高に楽しむための、まだ観てない人は観たくなるような、観たことある人ももう一度見たくなるような知識をまとめました。ネタバレはないので安心してご覧ください。
こんな人にオススメ
- 教師や教育に携わっている人
- 子を持つ保護者
- インド映画やアーミル・カーン作品が好き
- 欠点に悩んでいる
「 地上の星たち」とは
映画概要
タイトル | 地上の星たち ( 原題 : Taare Zameen Par ) |
公開年 | 2007年 |
国 | インド |
上映時間 | 165分 |
ジャンル | ドラマ・ファミリー |
※動画の配信情報は2023年5月時点のものです。配信状況により無料ではない場合があります。最新の配信状況は各動画配信サービスの公式サイトでご確認ください。
主要人物
ラーム・シャンカール・ニクンブ (左:ピンクの服)
臨時できた新しい美術の先生
イシャーン・アワスティー (右:赤い服)
学校でも家庭でも問題児・好奇心旺盛な小学生
どんな映画か
ひとことで表すと優しさと思いやりに溢れている映画です。
8歳のイシャーンは学校に通うのに苦労し、学校でも家庭でも問題児となっていました。そのために彼個人の個性は軽視されて、彼の想像力・創造性・芸術と絵画の才能に目を向けられませんでした。
その結果、父親に寄宿学校が入れられてしまいます。彼の心の拠り所であった「家族」・「仲間」と離れてしまったため、次第に心を閉ざしてしまいます。そこに臨時の美術教師のニクンブと出会い、彼の心に影響を与えていく...といった話です。
インドの教育問題と社会の目をメインテーマに、子どもたちの個性にどう寄り添うべきか そして、真剣に子供の視点に立つことの重要性を表現しています。人との違い苦しみ悩む子供や大人達にぜひ見てほしい作品です。
2007年の年末に公開されるとインドの各映画賞を総なめにしました。11歳であったのダルシール・サファリーの演技も魅力の一つで、インド映画のスター シャー・ルク・カーンと主演男優賞を競うほどです。
予備知識
ディスクレシアとは
映画の中に出て来る "ディスクレシア" とは、学習障害の一種で、知的能力になんの異常もないにもかかわらず、文字を認識する事が困難な状態にある障害です。文字が重なって見えたり、ゆらいで見えたり、鏡文字に見えたり、かすんで見えたりしています。
日本でもおよそ4%の児童生徒が失読障あるという調査結果もあります。
他のことは周囲と同等に対処できていることからも、読み書きがうまくできないのはサボっているからだと責める教師や大人がいることも事実です。本人はサボる気もなく努力していても、理解されずにそういった気持ちを踏みにじって自信を喪失させ、二次障害としてうつ病を発症することがあります。
村コミュニティの密接な関係
インドの農村では人と人の繋がりが強く、コミュニティ内での噂はすぐに広がってしまいます。そのため、身内に学校や社会の普通というの枠から外れた「落ちこぼれ」や「変わりもの」がいると、社会の目を気にして煙たがられのけ者扱いされます。
インドの村社会では、優秀もしくは普通である必要があるようです。映画でもたびたびこのようなシーンが描かれています。
インドの村コミュニティーが描かれている映画
- パッドマン 5億人の女性を救った男
- ダンガル きっと、つよくなる
話したくなる豆知識
ディスクレシアの著名人
英語話者の1~2割が何らかの程度でこの障がいを抱えていると言われていて、海外セレブや偉人などにもも多くいます。文字が読めないことによる学校退学やいじめなどの苦しみを乗り越え、才能を開花させ活躍しています。
トム・クルーズ
トム・クルーズはディスレクシアを世の中に広めたと言われています。子どものころディスレクシアのためにいくつもの学校を転々とし、いじめにもあいつらい思いをしてきたことを、これまでたびたび告白ています。
キアヌ・リーブス
ディスレクシアのため高校を退学せざるを得なくなり、「私は多くの生徒のようにできなかった」と辛い過去についてたびたび語っています。シェークスピアなどの物語や演劇への強い関心があり、そのことが舞台芸術学校に入学することにつながり、ハリウッドへの道を切り開いてくれたと語っています。
スティーブンスピルバーグ
60歳のころにディスレクシアと診断。1950年代は現在ほど学習障害についての理解が広まっておらず、、文字が読めず授業についていけないため小学校を2年遅れで卒業したようです。今でも脚本を読むのに人の2倍の時間がかかるようで努力と周りのサポートで乗り越えています。
ウォルトディズニー
文字や文章の意味を読み取ることが苦手だった一方で想像や演出などの感性の部分が周囲より抜群であったようです。
そのほかにもスティーブジョブズ・アインシュタイン・トーマスエジソン・坂本龍馬など多くの歴史上の偉人もディスレクシアと言われています。
ボリウッド初のアニメーションを使用
ボリウッドで初めての粘土アニメーションやイシャーンの空想に2Dアニメを使用しています。
出演・監督
監督・主演 : アーミル・カーン
インドのスターでもあるアーミル・カーンは、映画監督&プロデューサーの父そして、映画監督の叔父という映画一家に誕生しました。「ミスター・パーフェクト」と呼ばれており、作品選びや役づくりに一切妥協しない人です。この映画でも、ディスクレシアを知り障害を持った子どもの心情をしっかり理解することをたゆまぬ努力で学んでいることが伺えます。そのため、優しく寄り添ったイメージ豊かな監督作品になっています。
インド国内では彼以上の天才はいないとまで言われており、俳優として第一線で活躍しつつ、福祉や教育など社会問題にも取り組んでいます。また、米『タイム』誌が「世界で最も影響力のある100人」に選ばれており、あのビルゲイツが会いたいと発言した人物でもあります。
好きな映画作品は、日本だと宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』アメリカだと、スピルバーグ監督の『インディ・ジョーンズ』や、ロバート・ゼメキス監督の『フォレストガンプ』インドの映画ではムガル帝国のアクバル大帝を描いた歴史映画の『Mughal-e-Azam』みたいです。
アーミル・カーン おすすめ作品
主演:ダルシール・サファリー
1997 年 3月 9日にインドのマハラシュトラ州ムンバイで生まれたボリウッド俳優です。「地上の星たち」で俳優デビュー。同作で映画評論家からの賞賛とインド国内の映画賞を獲得しました。
ダルシール・サファリー おすすめ作品
- Zokkomon
- Bumm Bumm Bole
- 地上の星たち
「きっと、うまくいく」が好きな人におすすめ映画
主演のアーミル・カーン&監督が再タッグ 『 PK 』
ラージクマール・ヒラーニ監督と、アーミル・カーンの再タッグ作品。宗教問題を取り上げた作品であるのにもかかわらず、インドでは「きっと、うまくいく」を超える興行成績を記録し、全米公開もされました。
笑って泣けて、宗教について少し考えさせられる作品でアーミル・カーン作品が好きな人は楽しめる作品だと思います。
ワンダー君は太陽
生まれながらの顔の形とその治療の跡が原因でいじめをうける主人公。家族の愛で励まされ、また得意の理科で周囲の尊敬を得て友達と友情を築いていくストーリー。
「地上の星たち」では内面のマイノリティについて描かれていましたが、こちらの映画は外見のマイノリティについて描かれています。
レインボー
お姉さんが盲目の弟の目を手術するために無茶な旅をします。世界中で愛されているおとぎ話「オズの魔法使い」に着想を得て、青春真っただ中の10代の少女が成長していく様子を描いた物語。
二人の掛け合いがとても面白く、ほっこりする映画になっています。
まとめ
日本でも、学校や社会の普通というの枠から外れると「落ちこぼれ」や「反抗的」という烙印を押されてしまいます。その結果、その子どもの個性を潰してしまい、人とは違う脳を持つからこそ人とは違う視点で世界を捉えることができることを知れずに大人になっていきます。
このように今同じような現状に悩む子供達と、その周りにいる大人たちに知ってほしいそして子ども一人一人と向き合い、見合った教育を授けるの大切さについて知ってもらいという願いが込められた映画です。
興味を持った方には是非 アーミル・カーンの優しい想いが詰まった映画「地上の星たち」ご覧になってもらいたい作品です。ぜひ次に見る映画の候補にしてみてはいかかでしょうか?
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