レビューと感想 映画『コーダ あいのうた』家族の中で唯一耳が聞こえる少女ルビーの心情と風景

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レビューと感想 映画『コーダ あいのうた』

あらすじ

『コーダ あいのうた』は、家族の中で唯一耳が聞こえる少女が、自分の夢と家族への愛の間で葛藤しながら成長していく姿を描いた感動的なヒューマンドラマです。フランス映画『エール!』のリメイクで、2022年の第94回アカデミー賞で作品賞を含む3部門を受賞したことでも話題になりました。

物語の主人公は、海辺の町で暮らす高校生のルビー。彼女は家族の中で唯一耳が聞こえる存在であり、幼い頃から家族の耳となって家業の漁業を手伝ってきました。しかし、新学期に合唱クラブに入部したルビーは、自分の歌の才能に気づき、名門音楽大学への進学を勧められます。しかし、彼女の歌声が聞こえない両親は、その夢に理解を示すことができず、家業を続けるように強く反対します。ルビーは夢を追いかけるか、家族を支えるかという大きな選択を迫られます。

タイトルコーダ あいのうた
公開年2021年
アメリカ・フランス
時間112分
ジャンル音楽・ドラマ

※動画の配信情報は2024年8月時点のものです。配信状況により無料ではない場合があります。最新の配信状況は各動画配信サービスの公式サイトでご確認ください。

映画『コーダ あいのうた』レビュー

『コーダ あいのうた』は、家族の中で唯一耳が聞こえる少女ルビーが、家族への愛と自分の夢の間で葛藤しながら成長していく姿を描いた感動的なヒューマンドラマです。フランス映画『エール!』のリメイクで、家族の設定やシチュエーションが少し変わっていますが、物語の本質はそのままに、より深みを増しています。

映画の魅力は、聴覚障害者を聖人のように描かず、リアルな人間として表現している点にあります。汚い言葉や性的な描写も含め、家族の生活が生々しく描かれています。このリアルさが、物語を普遍的なヒューマンドラマへと昇華させ、アカデミー賞での受賞に繋がったのだと感じます。

特に印象的なシーンは、ルビーが合唱クラブの発表で歌う場面です。ここでは、彼女の家族が音を感じられない世界が表現されており、その演出は心に深く響きます。また、ルビーが自分の夢と向き合い、家族と対峙する姿は、高校卒業という子供から大人への移行期を象徴しており、家族全体の成長も描かれています。

ルビーが自身の歌の才能を見つける過程で、彼女を支える先生や友人の存在も重要です。特に、先生の指導はルビーの内面を引き出し、彼女が「大人」でもなく「シャイな10代女子」でもなく、ただ歌が好きな女の子としての自己を確立していく様子が丁寧に描かれています。

映画のラストで、ルビーが手話で家族に「愛してる」と伝えるシーンは感動的で、その後に流れるエンドロールの歌が、彼女自身の生い立ちや家族との思い出を反映していることに気づかされます。また、タイトルの「CODA」が音楽用語と「Children of Deaf Adults」を意味する言葉である点も興味深いです。

全体を通して、家族の絆と自己確立、ハンディキャップというテーマを織り交ぜながら、明るくユーモラスに描かれた作品です。歌や家族、障害といった要素が見事に調和し、唯一無二のハーモニーを生み出しています。

まとめ

『CODA コーダ』は、家族愛と個人の成長を描いた感動的な作品であり、多くの人々にとって心に残る映画です。夢を追いかけることの素晴らしさと、それに伴う困難をリアルに描き出したこの作品は、家族と夢の間で悩むすべての人に勇気を与えてくれるでしょう。アカデミー賞での受賞も納得のクオリティで、まさに必見の一本です。

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