2,トーキー映画の革命
音声のある映画 トーキー
1927年、映画史は重要な転換点を迎えました。その年、アラン・クロスランド監督の「ジャズ・シンガー」が公開され、映画に音声が導入されたことで、サイレント映画の時代から「トーキー」の時代へと移行しました。「トーキー」はトーキング・ピクチャー、talking pictureの略です。
トーキーの導入を可能にした背景には、音声をフィルム状に録音する技術、すなわち「光学サウンド録音(光学リレコ)」を利用した「サウンドカメラ」の発明があります。この技術革新により、1923年にニューヨークで初めて映像と音が完全同期した短編映画が公開され、映画製作の新たな時代の幕が開けました。
商業的長編映画として初のトーキー映画「ジャズ・シンガー」は、映画における同期音声の使用は業界に革命をもたらしました。アル・ジョルソンが歌うシーンでは実際の音声が使用され、映画の中で彼が話す数行の台詞も含まれていました。これにより、観客は初めて映画の中で生の人間の声を聞く体験をしました。「ジャズ・シンガー」の成功は映画製作の方法を変え、サイレント映画からトーキーへの移行期における象徴的な作品となりました。
翌年にはウォルト・ディズニー社はミッキー・マウスのデビュー作としても知られる『蒸気船ウィリー』が公開されました。この映画はフィルムそのものに音声情報を記録した、サウンド・トラック方式の最初の作品で映画における音声導入の可能性を広げるものになりました。
この技術の変化は、映画「バビロン」や「雨に唄えば」で描かれるように、時代の移り変わりに順応できない俳優が多くいるという問題も浮き彫りにしました。サイレント映画時代のスターたちは、声の演技が新たな基準となるトーキーの時代においてそのキャリアを維持することが困難になるケースが少なくありませんでした。
重要な作品とその影響
- 「ジャズ・シンガー」(1927): アラン・クロスランド監督によるこの映画は、映画における同期音声を初めて導入した作品として知られ、トーキーの時代の幕を開けました。映画業界に革命をもたらし、サイレント映画からトーキーへの移行を加速。映画における音楽と台詞の重要性を示し、今日の映画製作の基礎を築きました。
- 「蒸気船ウィリー」(1928): この映画は、映画に同期音声を導入した作品として、アニメーション史上における重要な節目となりました。これ以前にもアニメーション自体は存在しましたが、この作品が公開されるまで、音声を同期させたアニメーションは存在しませんでした。サウンドトラックには、音楽だけでなく、キャラクターの動作に合わせた効果音も含まれており、視覚と聴覚を通じてストーリーを豊かに伝える新しい時代を切り開きました。
押さえておきたいポイント(一言メモ)
- トーキーとは: 「トーキー」はトーキング・ピクチャー、talking pictureの略
- トーキーの革命: 「ジャズ・シンガー」により映画に音声が導入され、映画史に新たな章を開いた
- 映画技術の進化: 音声導入により、映画の表現力が拡大し、より複雑なストーリーテリングが可能に
- サウンドトラックが同期している初めてのアニメーション: 『蒸気船ウィリー』はサウンドトラックが同期している最初のアニメーション映画であり、アニメーションにおける音声の活用という新しい時代を築いた
- 映画のスターの移り変わり: サイレント映画時代のスターから、声の演技が新たな基準となるトーキーに変化。対応の新しいタイプのスターへと移り変わりが起こり、俳優の選定基準にも変化をもたらした
トーキー映画時代のまとめ
「ジャズ・シンガー」が公開され、映画に音声が導入されたことで、サイレント映画の時代から「トーキー」の時代へと移行しました。この作品は初めて映画の中で生の人間の声を聞く体験をしました。「ジャズ・シンガー」の成功は映画製作の方法を変え、サイレント映画からトーキーへの移行期における象徴的な作品となりました。
トーキーの導入は、映画史において技術的、文化的に重大なマイルストーンであり、ハリウッドの黄金期への道を切り開き、映画というメディアの可能性を根底から拡大させました。
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