「私のトナカイちゃん」Netflixの新ドラマに隠された真実
Netflixの新ドラマ「私のトナカイちゃん」には、一見心温まるクリスマスの物語に見えますが、実はゾッとするような真実が隠されています。このドラマは、リチャード・ガッドの実体験を基にした実話を元に制作されており、彼の一人舞台をドラマ化したものです。
あらすじ
売れないコメディアンであるリチャード（ドラマ内ではドニーと名付けられている）は、ロンドンでスタンドアップコメディの成功を夢見ていました。しかし、その夢は失敗に終わり、彼はバーで働きながら日々を過ごしていました。そこで彼は、マーサという一風変わった女性と出会います。マーサは、トニー・ブレアと個人的な繋がりがあると主張する一方で、コーラすら買えないほどの経済的困窮を抱えていました。ドニーは彼女に同情し、親切に接しますが、これが運命を大きく狂わせるきっかけとなります。
ドラマの背後にある真実
「私のトナカイちゃん」は、リチャード・ガッドが実際に経験した恐怖を描いています。彼は、マーサという女性からの6年間にわたる執拗なストーキングに苦しんでいました。彼女はドニーに対して41,071通のメール、350時間にも及ぶボイスメール、744件のツイート、46件のFacebookメッセージ、そして100ページを超える手紙を送り続けました。また、彼女はドニーに帽子やボクサーショーツ、そして「トナカイのぬいぐるみ」などの奇妙な贈り物を送りつけ、ドラマのタイトル「私のトナカイちゃん」はこのペットネームから取られています。
ガッドは、「彼女がただの悪人で、自分がただの被害者だとは言えない」と述べています。この複雑な感情が、ドラマ全体を通して描かれており、視聴者に単純な善悪では語りきれない物語を提示します。
マーサの正体
実際のマーサの名前は伏せられており、ドラマ内でも彼女の実像は一部フィクションとして描かれています。ガッドは、彼女の匿名性を守るため、彼女自身が自分だと気付かないほどに脚色を施しています。
しかし、このドラマで描かれた実在の女性、フィオナ・ハーヴェイは、自身がこの作品で不正確に描かれ、ネットフリックスとドラマのクリエイターによって名誉を傷つけられたとして、訴訟を起こそうとしています。ハーヴェイは、2013年にロンドンのバーでガッドに出会い、その後彼に数万通ものメールや手紙を送りつけたとされていますが、彼女の主張によれば、このドラマの内容は事実と異なり、特にドラマ内で描かれたストーカーが最終的に有罪を宣告され、刑務所で服役するというエピソードは誤りであるとしています。
ハーヴェイは、自身がこのドラマのファンによって特定され、名誉を傷つけられたと主張しており、彼女の弁護士クリス・ドウKCは、ネットフリックスを相手取る名誉毀損訴訟を準備しています。ニュースサイトのDeadlineによれば、この訴訟は、ドラマを「実話」として配信したことに対するもので、作品の影響力と真実性に対する法的な論争が注目を集めています。
キャスト
ドラマの主人公ドニーを演じるのは、シリーズのクリエイターでもあるリチャード・ガッド自身です。マーサ役には「The Outlaws」のジェシカ・ガニングがキャスティングされ、他にもシャローム・ブルネ＝フランクリン（「The Tourist」）やニナ・ソサーニャ（「WIA」）などが出演しています。
「私のトナカイちゃん」は、ガッドが2019年にエディンバラ・フェスティバルで初演し、その後ロンドンのブッシュ・シアターでも上演された一人舞台を基にしています。ドラマ化により、ガッドが経験した現実とその背後にある複雑な感情が、より深く描かれることとなりました。
まとめ
このドラマは、視聴者にただのスリラーではなく、ストーキングという現代社会の問題に向き合うことの重要性を問いかけています。Netflixの新作「私のトナカイちゃん」にぜひ注目してください。
